着任挨拶

令和5年11月13日
 皆様はじめまして。私は40年の外交官生活で韓国・中国の仕事が多く(とてもやりがいありましたが)、ヨーロッパでの勤務に憧れていました。美しい東欧の国、日本との関係が良好で重要な国ブルガリアで大使を務めることになり、とても光栄です。
 
●「明治ブルガリアヨーグルト」や元大関琴欧洲(現鳴戸親方)を通じ親近感のあったブルガリア。1970年大阪万博のブルガリア館も遠い記憶にあります。近年は科学技術に強い国としてビジネス面でも注目されています。EU・NATOの一員であり、民主主義、法の支配といった基本的価値を日本と共有する友好国です。ウクライナ紛争に加え中東情勢の悪化など世界情勢が揺れ動く中、ブルガリアの姿勢に日本も欧米各国も注目しています。
 
●本年5月、西村経済産業大臣がビジネス代表団を伴ってブルガリアを訪問されました(経産大臣の訪問は49年振り)。先日東京で大臣は私に、「低賃金のEUメンバーというだけでない新風がブルガリアに吹いており、IT、AI等先端技術分野での協力可能性がある。日本に親近感を持ってくれる国でもある。大使館とよく連携して協力を進めていきたい」と述べられました。
 
●ブルガリアは、バラやヨーグルト、ワインやはちみつ、陶器、刺繍製品などの特産物、世界遺産や温泉など魅力ある観光資源が多い国。各地方を訪れることを楽しみにしています。日本にあまり知られていないブルガリアの魅力を日本に伝えるつもりです。
 
●ブルガリアは日本語学習者や日本書籍翻訳が多く、大学のみならず初・中等教育でも日本語を教える学校があります。体制転換前からの文化交流で、茶道、生け花、武道をたしなみ日本食を楽しむ方々がおられます。でもまだまだです。わが大使館はこうした状況に甘んじることなく、文化、ビジネス、科学技術、環境配慮、観光等さまざまな日本の魅力をブルガリアに発信したいと考えています。
1990年来秋に実施している日本文化月間行事の充実を図り、相手の素晴らしさを互いに一層理解するように努めます。
2024年は、交流開始115周年、外交関係樹立85周年、外交関係再開65周年であり、官・民・産・学・地方の人的交流を促進したく、皆様のアイディアやご支援をお願いいたします。
 
●日本を離れ、当地で長くご活躍の方々に敬意を表します。日本ビジネスを支援し在留邦人の方々の利益を守るのは大使館の最も基本的な仕事です。音楽・医学等勉強で来ておられる方々含め、お会いして、皆様が安心して生活し活動できるよう、ご意見・ご要望をうかがいたいです。皆様の益々のご健勝とご活躍をお祈りします。
2023年11月13日
駐ブルガリア日本国大使
道上尚史

(略歴)
・1958年大阪生まれ。東京大学法学部卒業、ハーバード大学修士。
・1983年外務省入省。
本省アジア局、経済局等で勤務。在ジュネーブ代表部(WTO担当)、在韓国大使館参事官・公使,在中国大使館公使、在韓国大使館総括公使。2014年以降は在ドバイ総領事、在釜山総領事、日中韓協力事務局事務局長、駐ミクロネシア連邦大使。
・日本・韓国で6冊の著書あり。日中韓の大学、市民団体、政府機関での講義・講演、雑誌等寄稿多数。