道上大使挨拶
令和7年1月20日
令和7年新年挨拶

明けましておめでとうございます。
ブルガリアに着任して2度目のお正月を迎えました。平素のご支援に御礼申し上げ、新年のご挨拶を申し上げます。
1. 昨2024年、日本とブルガリアは政治・ビジネス・文化面で交流が発展しました。
9月に額賀衆議院議長が来訪され(衆議院議長として24年ぶり)、ラデフ大統領、ナザリャン国民議会議長、グラフチェフ首相と会談され、プロブディフを訪問されました。石井議員を団長とする参議院日本ブルガリア友好議員連盟議員団や穂坂外務政務官も来訪。
ブルガリアからはマリノフ・エネルギー大臣やミロシェフ観光大臣が訪日し、日本の関係省庁と当局間覚書を作成しました。(肩書きは当時)
議会を含め政務の行き来は活発であり、両国の戦略的連携を進めたいと考えます。
新しいモメンタムが一番目立ったのは、ビジネスです。10月だけで二つの日本ビジネス代表団が来訪、大統領に表敬。その後東芝が、水力(揚水)発電所1号機修理への参加決定。明治はソフィアで共同研究所設立を決定。いずれもブルガリアに人を派遣してくれます。東芝も明治も長年のご苦心、貢献、信頼の上の成果であり、とても心強いです。
文化について、昨年当館は25の行事を実施し、地方都市含め3万8千人の来客。日本舞踊、雅楽、和太鼓など、元国王(元首相)のご出席も頂き、多数報道され、実り多き年となりました。ソフィア大はじめ大学や高校の交流、学術交流も進みました。豊明市とガブロヴォ市が友好協力の覚書を結びました。映画、音楽、スポーツ等民間交流も嬉しいです。
2. ブルガリアについて、私が日本の方によく話すのは次の二点です。
一つは、日本・日本人に対し特別の親愛、高い評価、尊敬があることです。1970年の大阪万博以来、両国国民の努力があり、ソフィア大学の日本学科はじめ日本語を学ぶ方々が多い。空手や合気道、剣道、歌やコスプレを披露してくれる方々が(世代を超えて)います。
ダム、地下鉄、港湾、水道、環境設備、文化施設、病院、ホテル等各種インフラに日本が長年貢献してきたことも、この高い評価の基盤にあります。
二つ目は、ビジネスにおけるブルガリアの利点・長所です。技術水準が高い一方、賃金と法人税率(10%)はEU内で一番低い。NATO・EUメンバーとして確かな歩みがあり、日米EUと基本価値を共にする、安心できる国。経済自体も伸びています。
日本ビジネスは、(東芝、明治という二つの大企業以外に)、当国での雇用は約7千人に及び、活躍しておられます。最近も具体的なビジネス照会・来訪があります。
このように日本とブルガリアは長い友情の上に新たな発展が見えてきています。「バラとヨーグルトの国」だけではない、イノベーションハブを目指し、新しい風が吹いています。
同時に、口に出す人は少ないけれど、「昔ほど日本が見えない。元気ないんですか」との目を感じます。「日本企業や日本人が、30年前はもっとたくさんいました」と聞きます。
3. 米国の新政権が動きだしますが、ブルガリアでは16日に新たな内閣が成立しました。大使館として、欧州の動きを見極めつつ、日・ブルガリア関係の一層の強化を進めます。
5月にはラデフ大統領が訪日(万博にも参加)される計画です。ブルガリアが日本でよく知られ、両国の協力が進む契機になればと考えます。
この17日、日本人会の皆様のご参加を得て新年会を行いました。若い留学生の方々、30年住んでおられる方々とお話しでき、楽しく有意義な時間でした。「今年は巳年。蛇の脱皮のように、何度も殻を破って新しい自分に生まれ変わるようでありたい」と伝えました。
皆様の安心を増し、不便と不安を減らすのは、当館の重要な仕事です。皆様のご協力とご理解をいただきつつ、館員一同責務を果たすよう努めます。
山崎会長はじめ日本人会の皆様の、読者の皆様の、ご多幸を祈ります。
ブルガリアに着任して2度目のお正月を迎えました。平素のご支援に御礼申し上げ、新年のご挨拶を申し上げます。
1. 昨2024年、日本とブルガリアは政治・ビジネス・文化面で交流が発展しました。
9月に額賀衆議院議長が来訪され(衆議院議長として24年ぶり)、ラデフ大統領、ナザリャン国民議会議長、グラフチェフ首相と会談され、プロブディフを訪問されました。石井議員を団長とする参議院日本ブルガリア友好議員連盟議員団や穂坂外務政務官も来訪。
ブルガリアからはマリノフ・エネルギー大臣やミロシェフ観光大臣が訪日し、日本の関係省庁と当局間覚書を作成しました。(肩書きは当時)
議会を含め政務の行き来は活発であり、両国の戦略的連携を進めたいと考えます。
新しいモメンタムが一番目立ったのは、ビジネスです。10月だけで二つの日本ビジネス代表団が来訪、大統領に表敬。その後東芝が、水力(揚水)発電所1号機修理への参加決定。明治はソフィアで共同研究所設立を決定。いずれもブルガリアに人を派遣してくれます。東芝も明治も長年のご苦心、貢献、信頼の上の成果であり、とても心強いです。
文化について、昨年当館は25の行事を実施し、地方都市含め3万8千人の来客。日本舞踊、雅楽、和太鼓など、元国王(元首相)のご出席も頂き、多数報道され、実り多き年となりました。ソフィア大はじめ大学や高校の交流、学術交流も進みました。豊明市とガブロヴォ市が友好協力の覚書を結びました。映画、音楽、スポーツ等民間交流も嬉しいです。
2. ブルガリアについて、私が日本の方によく話すのは次の二点です。
一つは、日本・日本人に対し特別の親愛、高い評価、尊敬があることです。1970年の大阪万博以来、両国国民の努力があり、ソフィア大学の日本学科はじめ日本語を学ぶ方々が多い。空手や合気道、剣道、歌やコスプレを披露してくれる方々が(世代を超えて)います。
ダム、地下鉄、港湾、水道、環境設備、文化施設、病院、ホテル等各種インフラに日本が長年貢献してきたことも、この高い評価の基盤にあります。
二つ目は、ビジネスにおけるブルガリアの利点・長所です。技術水準が高い一方、賃金と法人税率(10%)はEU内で一番低い。NATO・EUメンバーとして確かな歩みがあり、日米EUと基本価値を共にする、安心できる国。経済自体も伸びています。
日本ビジネスは、(東芝、明治という二つの大企業以外に)、当国での雇用は約7千人に及び、活躍しておられます。最近も具体的なビジネス照会・来訪があります。
このように日本とブルガリアは長い友情の上に新たな発展が見えてきています。「バラとヨーグルトの国」だけではない、イノベーションハブを目指し、新しい風が吹いています。
同時に、口に出す人は少ないけれど、「昔ほど日本が見えない。元気ないんですか」との目を感じます。「日本企業や日本人が、30年前はもっとたくさんいました」と聞きます。
3. 米国の新政権が動きだしますが、ブルガリアでは16日に新たな内閣が成立しました。大使館として、欧州の動きを見極めつつ、日・ブルガリア関係の一層の強化を進めます。
5月にはラデフ大統領が訪日(万博にも参加)される計画です。ブルガリアが日本でよく知られ、両国の協力が進む契機になればと考えます。
この17日、日本人会の皆様のご参加を得て新年会を行いました。若い留学生の方々、30年住んでおられる方々とお話しでき、楽しく有意義な時間でした。「今年は巳年。蛇の脱皮のように、何度も殻を破って新しい自分に生まれ変わるようでありたい」と伝えました。
皆様の安心を増し、不便と不安を減らすのは、当館の重要な仕事です。皆様のご協力とご理解をいただきつつ、館員一同責務を果たすよう努めます。
山崎会長はじめ日本人会の皆様の、読者の皆様の、ご多幸を祈ります。
2025年1月20日
駐ブルガリア日本国大使
道上尚史
駐ブルガリア日本国大使
道上尚史
着任挨拶
皆様はじめまして。私は40年の外交官生活で韓国・中国の仕事が多く(とてもやりがいありましたが)、ヨーロッパでの勤務に憧れていました。美しい東欧の国、日本との関係が良好で重要な国ブルガリアで大使を務めることになり、とても光栄です。
●「明治ブルガリアヨーグルト」や元大関琴欧洲(現鳴戸親方)を通じ親近感のあったブルガリア。1970年大阪万博のブルガリア館も遠い記憶にあります。近年は科学技術に強い国としてビジネス面でも注目されています。EU・NATOの一員であり、民主主義、法の支配といった基本的価値を日本と共有する友好国です。ウクライナ紛争に加え中東情勢の悪化など世界情勢が揺れ動く中、ブルガリアの姿勢に日本も欧米各国も注目しています。
●本年5月、西村経済産業大臣がビジネス代表団を伴ってブルガリアを訪問されました(経産大臣の訪問は49年振り)。先日東京で大臣は私に、「低賃金のEUメンバーというだけでない新風がブルガリアに吹いており、IT、AI等先端技術分野での協力可能性がある。日本に親近感を持ってくれる国でもある。大使館とよく連携して協力を進めていきたい」と述べられました。
●ブルガリアは、バラやヨーグルト、ワインやはちみつ、陶器、刺繍製品などの特産物、世界遺産や温泉など魅力ある観光資源が多い国。各地方を訪れることを楽しみにしています。日本にあまり知られていないブルガリアの魅力を日本に伝えるつもりです。
●ブルガリアは日本語学習者や日本書籍翻訳が多く、大学のみならず初・中等教育でも日本語を教える学校があります。体制転換前からの文化交流で、茶道、生け花、武道をたしなみ日本食を楽しむ方々がおられます。でもまだまだです。わが大使館はこうした状況に甘んじることなく、文化、ビジネス、科学技術、環境配慮、観光等さまざまな日本の魅力をブルガリアに発信したいと考えています。
1990年来秋に実施している日本文化月間行事の充実を図り、相手の素晴らしさを互いに一層理解するように努めます。
2024年は、交流開始115周年、外交関係樹立85周年、外交関係再開65周年であり、官・民・産・学・地方の人的交流を促進したく、皆様のアイディアやご支援をお願いいたします。
●日本を離れ、当地で長くご活躍の方々に敬意を表します。日本ビジネスを支援し在留邦人の方々の利益を守るのは大使館の最も基本的な仕事です。音楽・医学等勉強で来ておられる方々含め、お会いして、皆様が安心して生活し活動できるよう、ご意見・ご要望をうかがいたいです。皆様の益々のご健勝とご活躍をお祈りします。
(略歴)
・1958年大阪生まれ。東京大学法学部卒業、ハーバード大学修士。
・1983年外務省入省。
本省アジア局、経済局等で勤務。在ジュネーブ代表部(WTO担当)、在韓国大使館参事官・公使,在中国大使館公使、在韓国大使館総括公使。2014年以降は在ドバイ総領事、在釜山総領事、日中韓協力事務局事務局長、駐ミクロネシア連邦大使。
・日本・韓国で6冊の著書あり。日中韓の大学、市民団体、政府機関での講義・講演、雑誌等寄稿多数。
●「明治ブルガリアヨーグルト」や元大関琴欧洲(現鳴戸親方)を通じ親近感のあったブルガリア。1970年大阪万博のブルガリア館も遠い記憶にあります。近年は科学技術に強い国としてビジネス面でも注目されています。EU・NATOの一員であり、民主主義、法の支配といった基本的価値を日本と共有する友好国です。ウクライナ紛争に加え中東情勢の悪化など世界情勢が揺れ動く中、ブルガリアの姿勢に日本も欧米各国も注目しています。
●本年5月、西村経済産業大臣がビジネス代表団を伴ってブルガリアを訪問されました(経産大臣の訪問は49年振り)。先日東京で大臣は私に、「低賃金のEUメンバーというだけでない新風がブルガリアに吹いており、IT、AI等先端技術分野での協力可能性がある。日本に親近感を持ってくれる国でもある。大使館とよく連携して協力を進めていきたい」と述べられました。
●ブルガリアは、バラやヨーグルト、ワインやはちみつ、陶器、刺繍製品などの特産物、世界遺産や温泉など魅力ある観光資源が多い国。各地方を訪れることを楽しみにしています。日本にあまり知られていないブルガリアの魅力を日本に伝えるつもりです。
●ブルガリアは日本語学習者や日本書籍翻訳が多く、大学のみならず初・中等教育でも日本語を教える学校があります。体制転換前からの文化交流で、茶道、生け花、武道をたしなみ日本食を楽しむ方々がおられます。でもまだまだです。わが大使館はこうした状況に甘んじることなく、文化、ビジネス、科学技術、環境配慮、観光等さまざまな日本の魅力をブルガリアに発信したいと考えています。
1990年来秋に実施している日本文化月間行事の充実を図り、相手の素晴らしさを互いに一層理解するように努めます。
2024年は、交流開始115周年、外交関係樹立85周年、外交関係再開65周年であり、官・民・産・学・地方の人的交流を促進したく、皆様のアイディアやご支援をお願いいたします。
●日本を離れ、当地で長くご活躍の方々に敬意を表します。日本ビジネスを支援し在留邦人の方々の利益を守るのは大使館の最も基本的な仕事です。音楽・医学等勉強で来ておられる方々含め、お会いして、皆様が安心して生活し活動できるよう、ご意見・ご要望をうかがいたいです。皆様の益々のご健勝とご活躍をお祈りします。
2023年11月13日
駐ブルガリア日本国大使
道上尚史
駐ブルガリア日本国大使
道上尚史
(略歴)
・1958年大阪生まれ。東京大学法学部卒業、ハーバード大学修士。
・1983年外務省入省。
本省アジア局、経済局等で勤務。在ジュネーブ代表部(WTO担当)、在韓国大使館参事官・公使,在中国大使館公使、在韓国大使館総括公使。2014年以降は在ドバイ総領事、在釜山総領事、日中韓協力事務局事務局長、駐ミクロネシア連邦大使。
・日本・韓国で6冊の著書あり。日中韓の大学、市民団体、政府機関での講義・講演、雑誌等寄稿多数。