対ブルガリア文化無償




ブルガリアには世界に誇る文化・教育機関、文化財が多数存在しますが、その多くの機関では財政難のため十分な活動や保存・修復に困難が生じています。そこで日本政府は、ブルガリアの優れた伝統や文化を守り、両国の文化交流をいっそう促進するため、ブルガリアに対し積極的に文化協力を行っています。1991年度よりほぼ毎年実施している文化無償協力の対象分野は音楽、演劇、文化財保護、スポーツ等文化全般にわたっており、これまでの総額は 11.89億円にのぼります。
援助を受けてきた機関はソフィア・フィルハーモニー管弦楽団、国立文化宮殿、国立オペラ・バレエ劇場などブルガリアを代表する文化施設です。また、国立文化財保存研究所、国立考古学博物館などブルガリアの貴重な遺跡・史跡の保存にも我が国の援助の手がさしのべられてきました。特に、トラキア文明の解明に重要な役割を果たすことが期待されるアレクサンドロヴォ古墳(紀元前4世紀)の保存・研究のために企画され、当国への文化無償としては最大規模の3億4千万円を供与した東ロドピ山トラキア美術博物館センター建設計画は、2009年5月15日、秋篠宮同妃両殿下を迎えパルヴァノフ大統領夫妻の出席のもと正式な開所を迎えました。
また、草の根文化無償協力では小学1年生からの日本語教育を取り入れているソフィア第18総合学校に於ける「日本ブルガリア教育文化交流センター」が完成し、2008年2月引き渡し式が行われたことを皮切りに、現在は日本文化・日本語をブルガリア積極的に紹介している団体・機関へ計10件、総額約3800万円の供与が行われました 。
その他、2003年8月にはユネスコ文化遺産保存日本信託基金によるプロヴディフ歴史地区保存事業のため約100万ドルの財政支援を行うユネスコとブルガリア政府との合意文書の署名が松浦ユネスコ事務局長とパシ外相との間で行われ、修復作業が進んでいましたが、2008年12月、プロジェクトは成功裏に完了し、ユネスコ・ヴェニス事務所代表等を迎え盛大に完成が祝われました。
他方、2007年のブルガリアEU加盟により、OECD-DAC被援助国リストからの削除等を以て、経済的に繁栄しつつあるブルガリアに対する日本の支援は、大きな成果をもって終了しました。文化無償案件、草の根文化無償案件共に現在実施中の案件が対ブルガリア最後の案件となります。今後は、これらのスキームにより整備された文化施設等の活用や運営にあたり、両国間の更なる協力関係が促進されることが期待されます。



