
竹田大使が「Japan and Bulgaria: A Partnership for the Future」と題する講演を実施
3月24日、竹田大使は、Atlantic Club in Bulgaria主催の講演会に主賓講師として出席し、「Japan and Bulgaria: A Partnership for the Future」と題する講演を行いました。今回の講演は、「日・ドナウ交流年2009」、「日・ブルガリア外交関係再開50周年」にあわせたもので、ブルガリアの体制転換後の二国間関係に加えて、今後の関係発展や展望についても言及しました。
今回の講演には、ブルガリア側より、ソロモン・パシ国民議会外交委員会委員長(前外務大臣。次期NATO事務総長に立候補中)が名誉主催者として参加した他、日本・ブルガリア友好議連議員、日本・ブルガリア経済委員会委員、有識者・知識人、メディア関係者等を中心に約115名の参加があり、日本外交に対する注目度の高さが伺えました。
〈竹田大使講演要旨〉
1.総額約10億ユーロに上る日本からの経済・技術協力(但しOOFを含む)は、二国間関係の増進に大きな役割を果たしています。しかし、2007年のブルガリアのEU加盟及びOECD/DAC被援助国リストからの削除を受けて、日本からの経済支援規模は減額傾向にあります(3月末の当地JICA駐在員事務所の閉所等)。二国間関係は民間部門が更に重要な役割を果たす新しい段階に突入しました。
2.本年1月のパルヴァノフ大統領の訪日や5月に予定されている秋篠宮・同妃両殿下のブルガリアご訪問は、二国間関係の促進にプラスです。日本は、日・EU関係や日・NATO関係の増進のため、更には国連非常任理事国としてブルガリア政府の支持が得られている国連安保理改革の早期実現等のグローバルな問題に対処するための協力を進めていく所存です。
3.日本政府は、ブルガリアの民主化・市場経済化に向けた努力を後押しするため、円借款・技術協力・無償資金の各種供与等を含む協力を実施してきました。そのような支援がブルガリアの経済成長及びEU加盟に貢献し、且つ各事業が日本・ブルガリア友好の象徴となっています。日本の支援は終了段階にありますが、草の根・人間の安全保障無償資金協力は継続する予定です。
4.日本の経済支援の終了後は、日本からの民間投資誘致が鍵となりますが、投資量は残念ながら低いレベルに留まっています。その理由の一つとして、ブルガリアの有利な投資環境についての情報が日本経済界の中で十分知られていないことが挙げられます。昨年、在欧日本企業が集中するデュッセルドルフにてブルガリア投資庁がJETROと共に投資セミナーを実施しましたが、東京に同庁事務所を開設する決定を下したことを高く評価しています。日本企業の投資誘致には、効率的な行政手続き、透明で予測可能な意思決定及びブルガリア投資庁の権限強化、(運輸)インフラ整備を含む投資環境の改善が必要です。
5.文化交流は、日本・ブルガリア関係のもう一つの要諦です。政治体制の異同に関係なく日・「ブ」両国において他方の文化紹介事業を数多く実施してきました。また、日本はブルガリアの文化遺産の保存のために多くの支援も実施しています。更に、ブルガリアにおける日本語教育及び日本政府の国費留学制度も二国間関係の増進に一役買っています。草の根の文化・スポーツ交流(大関琴欧洲にも言及)、姉妹都市関係の継続等も相互理解に資するものです。日本語学習者・日本研究者・科学研究者の人物交流・共同事業の発案を支援することが重要です。JICA技協事業の終了後も日本政府が日本文化発信ボランティアを派遣できることを嬉しく思っています。