
竹田恆治駐ブルガリア共和国日本国特命全権大使から離任の挨拶
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平成22年10月7日
この度3年の任期を満了し,ブルガリアの地を離れることとなりました。在任した3年間にはブルガリアのEU加盟,両国の政権交替,日ブルガリア外交関係再開50周年等の出来事があり,このような両国関係にとっての歴史的転換期に在任できたことには,格別の感慨があります。在任中に皆様からいただいた様々なご支援,ご協力に対し,ここにあらためて御礼申し上げます。
外交分野では,2009年にパルヴァノフ大統領夫妻の訪日,及び秋篠宮同妃両殿下のブルガリア訪問が実現,両国各地で様々な外交関係再開50周年記念文化事業が実施され,両国の良好な友好・親善関係が一層強化されました。
経済協力分野では,円借款事業ソフィア地下鉄建設が完工,一方で最後の円借款事業として「ブルガス・ヴァルナ港コンテナターミナル建設計画」の借款契約が締結されました。ブルガリアの体制転換(1989年~)後,我が国は累計1281億円(約11億ユーロ)の経済協力を実施,インフラ整備のみならず、民主化、市場経済化の進展に向けた人材育成などの各分野で成果を上げており、ブルガリアのEU加盟に向けての努力を後押しできたものと考えております。
私はポストODAの両国関係の発展にとって,政府間にとどまらない幅広い両国民間の友好協力関係の確立が最も重要であると考え,外交,経済,文化,教育,スポーツ等幅広い分野での交流支援に努めてまいりました。なかんずく民間経済交流,特に我が国の対ブルガリア直接投資の促進は重要と考えていました。経団連をはじめとする多くの経済ミッションがブルガリアを訪問され,我が国経済界のブルガリアの投資環境についての理解を深め,また両国経済界が双方の関心を理解し,ビジネス・チャンスを発見する契機づくりができたのは喜ばしいことでした。
地方連携ではソフィア市と横浜市保土ヶ谷区,カザンラク市と宗像市のパートナーシップ協定が,またスポーツ分野ではJOC(日本オリンピック協会)とBOC(ブルガリア・オリンピック協会)の間でパートナーシップ協定が締結されました。さらに日本・ブルガリア両国の大学間には既に30以上の学術交流協定がありますが,私の在任中にも新たに複数の学術交流協定が締結されました。また,ブルガリアにおける日本語学習者は着任当時から約3倍増,1000人規模に拡大したことは,ブルガリア人の我が国への関心の高さを物語っています。他にも,ソフィアでJICA研修同窓生や元留学生,日本文化・スポーツ愛好家等が主体となって日本友好クラブが設立されたり,ブルガリアの高校生を対象とした日本でのホームステイ・プログラムが開始されたりと,民間・草の根主導の交流促進の動きがあり,大使としてその橋渡し,お手伝いをできたことは私にとって望外の喜びです。
今後の日・ブルガリア両国の友好協力関係の一層の発展をお祈りし,ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。