
東日本大震災一周年
伊藤誠 在ブルガリア共和国特命全権大使によるメッセージ
昨年3月11日に我が国東北地方をおそった東日本大震災から,ちょうど1年を迎えました。この節目の機会に,改めて大震災の犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに,我が国にとって困難の多かった日々にブルガリア政府及びブルガリア国民の皆様から寄せられた多大なる支援に対して,心よりの謝意を表します。
ブルガリアの子供たちが作ってくれ日本の被災地の子供達に送られたたくさんの折り鶴や暖かいメッセージは、日本の被災地の子供たちに送られ、肉親を失ったり家をなくした子供たちに勇気と元気を与えてくれました。ブルガリア赤十字をはじめとする多くの団体による募金活動や、被災地の人々を支援する様々なチャリティの催しが行われ、それに応じてくださった多くの皆様ひとりひとりからの寄付は被災者にとって大きな支援となりました。またブルガリアのフットボールで有名なストイチコフ氏他が中心となって被災地のフットボール少年をブルガリアに招いてくださったことは、被災地の人々に暖かいメッセージを与えてくれました。ブルガリアの多くの人々がこのように我が国での出来事に一緒に心を痛めて支援してくださったことに私たちは強く勇気づけられました。ここに改めて皆様に対しまして感謝申し上げます。
ブルガリアをはじめとする世界各国からの温かいご支援を受け,日本は復興と再生に向けて力強く歩み始めました。被災地のインフラや経済は確実に立ち直りつつあり,首都圏を含む被災地以外の地域では震災前の日常が戻っています。サプライチェーンも完全に回復し,日本におけるビジネス,留学,観光に大きな障害はなくなっていることをこの機会に改めて強調したいと思います。また、福島第一原発事故は昨年末にオンサイトの事故が収束したことを日本政府は明らかにしました。日本は今後、事故の経験と教訓を国際社会と共有し、国際的な原子力安全の向上に引き続き貢献していく考えです。現在、震災一周年を機に支援への感謝を込めて、被災地の復興しつつある姿と被災をうけた東北地方の美しい自然や文化を紹介するための写真展をブルガリア各地で開催していますので、機会がありましたらご覧頂ければ幸いです。
我が国は,東日本大震災という多大な苦難を経験しましたが,同時にそれは日本人,日本社会のしなやかな力強さと国際社会との「絆」の重要性を改めて認識する機会ともなりました。
日本は、国際社会から頂いた温かいご支援への恩返しのためにも,世界における人間の安全保障を実現するため,ODA等を通じ,積極的な国際貢献を継続します。また,グリーン経済への移行,防災,高いレベルの経済連携等我が国の再生に向けた諸課題に国を挙げて対処し,世界に新たなモデルを示すことでも,国際社会に貢献していきたいと思います。